瀬戸際と崖っ淵と境界もしかして、ブログ4周年かもしれない。

November 21, 2009

序章:空想物書きの構想 [小説]

≪Overture≫

 それはごく一般的な、都心部に有り触れているアパートの一室だった。

 成人女性が一人で暮らすには充分な1LDK。
 仕事を終えた彼女は、今日もカタカタとキーボードを叩いていた。

 カタカタ、カタカタ。
 時折迷ったように止まっては、天井を仰ぐ。
 傾倒しているアーティストの楽曲をオーディオコンポから薄く流し、合間を見計らってポップアップするバルーンの×印を几帳面に押しながら、傍らにあるタンブラーを手に取る。

 もうこんな時間か。
 ディスプレイ端の時計を見ながら独り言ちる。

 そんな、23:59からくるりと日付が変わった瞬間。


 ピンポーン。


 部屋の来客ベルが鳴ったのに些か不信感を憶える。

 しかし、『こんな時間』にやってくる来客には、何人か覚えがあった。だからこそ、のそのそと椅子から立ち上がってドアスコープを覗き込む。嗚呼、やはりか。
 部屋の主は少々面倒臭がりながらもチェーンを外した。

 ガチャリ。

 億劫そうに開く扉。
 そしてその先に立つ、満面の笑顔。

「来ちゃった♪」

 臆面も無く冗談を飛ばす『彼女』に酷く倦怠感を憶えて、部屋の主はがくりと肩を落とした。


To be continued.
本編へ続く




asa10_s at 00:02│Comments(0)小説。創造と想像 

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